ディールラボは、市場シェア・M&Aの対象となる候補先企業・株主提案・戦略レビュー・スタートアップを網羅する業界分析や資産運用をされる方向けのデータベース型プラットフォームです。
市場シェアの分析
ディールラボでは売上高ベースの市場シェアを算出しています。売上高を用いた金額ベースの市場シェアは業界の大きなトレンドや再編の端緒をつかむ上で有効です。再現可能性も高いです。
バイク業界では、インドのバイクメーカーの販売数は欧米勢より上回っていますが、金額ベース(売上高)では、下回っています。1台当たりの単価について、欧米勢のメーカーの方が(プレミアム戦略の結果)大きく、インド勢は自国内の可処分所得に合わせたマス層向けに低価格のバイクを売っていることに起因するであろうと推測できます。
金額か数量かによって、市場シェアの数値は異なります。市場シェアの数値には正解はありません。その違いが生み出される背景を推察することが、将来の業界再編を予想する上で大事なのです。
M&Aの対象となる候補先企業
市場シェアから業界の構造がわかったら、次は再編の対象となる企業を考えましょう。
どの会社が再編対象になるかは誰にもわかりません。日立の御三家の1社であった日立化成を昭和電工が買収することを数年前に誰が予測できたでしょうか?そこで、プライベートエクイティが保有する会社に注目します。将来売却される可能性が高いからです。プライベートエクイティが買収した会社について、その動向の分析とともに、今後の業界のM&Aや再編候補企業1200社を業界別にリスト化してみました。
増加する株主提案と業界再編
上場会社の株主(アクティビスト)がリターンをより高めるために、株主提案や経営陣との対話を開始する事例が近時増加しています。HP(ヒューレッドパッカード)社の会社分割のように、アクティビスからの提案で大掛かりな業界再編につながったケースも多々あります。アクティビスは、業界再編の触媒ともいえるでしょう。
アクティビストは、上場会社に対して不採算事業の売却や資本構成の変更を通じて、増配や自己株式消却といった要請をします。通常こうした対話は非公開で行われる場合もありますが、株主総会での議決権をめぐってプロキシーファイトを有利にすすめるために、公開書簡を双方が開示する場合もあります。アクティビストの要請を却下したケース、要請を承諾したケースが、またこれらの対話が複数年度にまたがる場合など、企業価値に対してどのように影響を及ぼしていったのかについて、個別事例を分析しました。
戦略レビューの公表
戦略レビューとは、企業がさらなる成長を模索するために事業構成の積極的入れ替えを行うことです。「成長性も乏しく、寡占的な市場構造の業界で、業界下位にある事業にどの程度経営資源をつぎ込むべきだろうか?」「利益は出ているのでそのまま継続をするか、売却をしてより高い成長やリターンが望める分野に参入するべきではないか?」といった潜在的な経営課題は個社様々です。欧米企業の場合は、事業の売却が決まった時点でなく、事業の売却の検討を開始した時点で、戦略レビューの公表を行う場合があります。例えば、エンジーがヴェオリアに売却したスエズの株式は良い例です。数年前には歴史的な経緯から誰もがあり得ないと思っていたウォーターバロン同士の組み合わせが、エンジーが戦略レビューを公表したことによって起きたのです。戦略レビューは業界再編につながる雷管と言えるでしょう。
再定義される業界
事業構成のアップデートを自発的に行うのが戦略レビュー、外圧で行うのが株主対話ならば、業界のエコシステムを再定義する存在がスタートアップといえます。スタートアップが投資ラウンドを重ねるごとに、今まで信じていた業界の垣根が薄くなっていき、どこまでも見渡せるグロースエリアが出現するのを目の当たりにするのです。考えてみれば、20年前にスマートフォン業界が生まれることを、スティーブジョブズ氏以外に誰がクリアに予想できたでしょうか?そしていま勃興しているアプリを使った料理仲介のフードデリバリーは、運輸業界なのでしょうか?小売業界なのでしょうか?ディストリビューション業界なのでしょうか?違います。2030年には3000億ドルを超える市場へと成長する可能性を秘めたフードデリバリー業界なのです。スタートアップの出現は、「業界内」の再編ではなく「業界それ自体」の再編へつながる端緒なのです。
全ての人がもっと気軽にグローバルな視点を
個社の戦略やビジネスモデルというミクロ要因と、業界構造や外部環境、そして業界自体の再定義といったマクロ要因の両面から業界、それもグローバルな業界再編の動向を分析している点が、当サイトの特徴と言えます。できるだけ多くの方に、サクッと簡単にひと目で業界構造を俯瞰(ふかん)して頂くために、本質的な情報のみを厳選した上で、かみ砕いた簡潔な表現を心掛けています。世界の競争の中で、日本の会社はこうした位置付けなんだ、海外のプレーヤーはこうした動きをしているんだ、と少しでも頭に引っかかる情報を提供することを目指しています。
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